造船と操船
Civのテクノロジーには、「帆走」(帆と風を使った海面走行)が有ります。さて、皆様は世界最初の船は何だと思いますか?
公益財団法人「日本海事広報協会」の船のはじまりページには、
1)古代の丸太舟
2)丸木舟
3)アシの舟(エジプト・南米)
4)浮き皮のいかだ(インド・中国)
などが紹介されています。但しアシ(葦)の舟は腐り易いので?、遺物には成り難いそうです。
但し席亭が知りたいのは舟の形状などではなく、その用途です。席亭は以下の様な物を考えています。
1)小川を渡る為の小舟
2)出発地から出発し、出発地に戻って来る漁船
世界最初の舟は、この何れかでしょう。
小川を渡る方法には、舟の使用や橋の使用が考えられます。ですから舟と橋のどちらが古いのかについては、調査する必要が有ります。
→橋
舟を使って対岸に渡れば、その舟は自分では戻れませんので、往復で使用する事に成ります。
何時でもその舟を小川の渡河に使用しようとするならば、新たに船頭、舟渡しが必要と成ります。ですからこれは(既に)、小川の渡しでは有りませんよね?(苦笑)
そして1)は自分の手足の延長ですから、11)手足とその力学的な出力に関係する技術となります。
また出発地から目的地へと向かう船旅は冒険でもない限り、両方の土地とその土地勘を必要とします。1)の小川の場合には、対岸の目的地は目の前に見えている訳です。(既に情報は入手済み)
つまりは、船旅には周到な準備が必要な訳です。ですからこれは、決して世界最初の舟では無いでしょう。
2)の行為は移動手段などではなく食糧調達行為ですから、4)飲食と飲水、排便に関係する技術と成ります。
以下はWikiを使って、丸太舟、丸木舟、アシの舟、いかだ(筏)の順に調べて行く事にします。
丸太舟のページは残念ながら、Wikiには有りません。
先の船のはじまりページには、丸太に跨って両手で水を掻いているイラストが掲載されています。ですからこの丸太の太さは、かなり太いそれです。
水に浮くだけならば浮袋の様に、かなり小さな木片でも可能です。水泳などでは、ビート板が使用される事も有ります。また片手で丸太を抱いて、片手で(抜き手で)泳ぐ泳ぎ方も可能でしょう。
以前霊長類は水泳能力を失った(〜水を怖がる)とも考えられていましたが、動物園で「人に育てられたオランウータンが泳ぐ」のが目撃されたそうです。
哺乳類の大半が、いわゆる「犬かき」を本能的に出来るそうです(人間の赤ん坊も同様)。しかしこのオランウータンは平泳ぎで使用する、フロッグキックで泳いだそうです。
先の船のはじまりページには、
1)水辺に住む人が川を渡らなくてはならなくなったとき、はじめは泳いだのでしょうが、荷物があれば泳ぐのはむずかしくなります。
そんなとき、たまたま浮いていた木の枝を利用して荷物を運んだりしたことは、じゅうぶんに想像できます。
やがて、木の枝をたばねてよりたくさん荷物をのせたり(〜筏)、人がまたがったりするようになり、これが船のおこりといわれています。
とあります。ですから水泳と船との間には余り差が無いのかも・・・。人間以外にも道具を使用する動物は居りますので、果たして類人猿が船を使用する様な場面は有ったのでしょうか?(笑)
さて、Wikiで丸木舟を調べると、
1)丸木舟または独木舟は、巨木を刳りぬき一本の木で成形され、梁もしくはわずかなコベリを付ける以外付属構造物を持たない舟、いわゆる単材刳舟であるカヌーを主に指す。
席亭も、カヌーがこの意味である事は知りませんでした。また、くりぬくには刃物が必要です。
2)しかし、刳りぬき部材を前後に継いだり、左右に継いだり、刳舟の両側に舷側板を継ぎ足したり、刳った舷側に船底板を組み合わせたりと、さまざまに複材化したものも、丸木舟と呼ばれる。
3)水上での最初の乗り物として、太古の昔より用いられたものであり、考古学者によって発見されているものは新石器時代にまで遡る。
人類は既に、石器を使用している訳です。ですから刃物とは、石器なのでしょう。
4)接着も溶接もしていない削り出しなので、腐食は避けられないものの壊れることが無く、水に沈むことも無いので安全性が高く、後に大型の船舶が登場しても一定の役割を担い続けてきた船である。
Wikiの「葦船」ページには、
1)葦船(あしぶね)や草いかだ(くさいかだ)は、丸木舟や他のいかだなどとともに、最も古くから知られている船のひとつである。
2)伝統的漁船としてよく使われてきたが、その大半は板張りの船に取って代わられた。しかし今でも使われている地域もいくらかはある。
3)葦船は通常、何らかのタールで防水されているため、葦船と草いかだは区別できる。小舟やいかだだけではなく、小さな浮島も葦で作ることができる。
4)いままで発見された中で最古の葦船の遺物は7000年前のもので、クウェートで発見された。
5)葦船は初期のペトログリフ(岩面彫刻)にも描かれており、古代エジプトでは一般的だった。
6)有名な例は、赤ん坊のモーセを入れるのに使われた「パピルスで編んだかごを取り、それにアスファルトと樹脂とを塗っ」たものである(Ark of bulrushes)。
カッコが面白い位置にあります。
7)また、ペルーとボリビアでも早くから作られており、非常に類似したデザインの船はイースター島でも発見された。
8)葦船は今でもペール、ボリビア、エチオピアなどで使われており、最近までケルキラ島でも使用されていた。
ケルキラ島はギリシアの島です。
9)ノルウェーの人類学者で冒険家のトール・ヘイエルダールの探検航海と研究により、葦船の構造と能力についての理解が深まった。
まあこの葦船はかなり高度な創作物(〜編み+化学処理)なので、これ以上の調査は終了とします。
Wikiでいかだを調べると、
1)いかだ(筏・桴)は、木材・竹など浮力を持つ部材をつなぎ合わせ、蔓などで結びつけた、水上構造物である。
ですから、いかだは船であるとは限りません。
2)航行や養殖の目的に用いられており、用途に応じて船舶または浮きの集合体とみなされる。
3)伝統的には、木・竹・ヨシなどの植物をロープで縛り合わせて作られた簡易的で小型のものが多い。
4)大きいものはチチカカ湖で用いられるバルサを用いたいかだで、長さは20メートルになる。
チチカカ湖は南米に在ります。またバルサは軽量木材で、模型飛行機などの製作に使用されます。
5)形状はアジアでは「平面型」が多いが、コロマンデル海岸の双胴船では「内凹型」がある。
コロマンデル海岸はインドの東岸に在ります。
6)木:例として、バルサ(世界一軽い木材)があり、バルサという語自体がスペイン語で「いかだ」を意味する。古代ペルー人はこの軽材で筏を作り、ポリネシアの島々まで遠距離航海を行ったとされる
(筏のような簡素的舟でも長距離航行は可能だった)。日本では、『万葉集』巻第一・50番において、いかだを真木=ヒノキや杉で作ったと記す歌が見られる。日本の場合、10石(2.3立法メートル)程度の
木材を1列に横に並べる。韓国・南海島・済州島のパルソン(筏船)には手すりがみられる。
席亭も真木=ヒノキやスギ、は知りませんでした。
7)竹:日本では『日本書紀』孝徳紀の白雉4年(653年)7月条に、薩摩半島沖で難破した遣唐使船の5人の生存者が付近の島に漂着した際、その島に生えていた竹を採って筏を制作して帰還を果たしたという記録がある。
このとき筏を制作した門部金(かどべのかね)はこの功績により褒美を賜ったという。台湾のテッパイ(竹筏)には帆がある。
8)皮:東アジアから南アジアの河川では、羊皮筏子やアレキサンダー・ボートといった、動物の皮に空気を入れた袋を浮力材としたいかだが今日でも渡し船などに利用されている。過去にはこの種のいかだは救命ボートとして
インド洋の交易船に積まれていた。イグサやパピルスを用いている地域としては、南米のチチカカ湖やアフリカのチャド湖・ナイル川がある。
以上で船の説明は終了して、次は操船技術を調べる事にします。
Wikiのページには、「操船術」、「航海術」、「航法」などが有りますが、何れも冗長です。そこで席亭が以下に粗く記述します。
凡そ船を進行、航行させるには、以下の3項目が必要です。
1)水に浮く浮力:これは通常船体が確保します。
2)船が前進する為の動力、駆動系:これは初歩的な船では人力や風力です。オール、櫂などで水を掻いて、その反力を使用します。
3)船が方向を変える為の操作系:舵などを備える船も有りますが、カヌーなどには存在しません。パドルを船の左右で使用して、方向転換します。
船の操船技術を調べる取っ掛かりとしては、小型船であるカヌーやカヤックのそれが有用でしょう。
4)ボートなどで使用する船べりに支点を持つものをオール(櫂)と呼び、カヌーなどに用いる船べりに支点を持たないものをパドル(橈)と言って区別する。
5)船の運航を精密に制御したい場合には、海図や船の現在位置と進行方向、進行速度を知る必要が有る。
船の現在位置を知る方法には、例えば「山だて」などが有ります。目印として複数の高い山などを使用し、(三角)測量を別の方角で二度行います。
また船の進行方向を知るには、コンパス(〜南北を指す磁石)を使用します。これは後に羅針盤や羅針儀に発展します。
Wikiには「羅針儀海図」というページも存在し、そこには港や海岸線を写実的に描いた航行用の地図、地球の丸さを考慮していない、大洋を渡る際には役に立たない、とあります。
また天体観測を行い、現在位置を知る方法も有ります。この天測航法には、六分儀が使用されます。(〜大洋航海)
また船の進行速度を知るには、ロープの先端に丸太や板をしばり投入れ、ロープに付けられた一定間隔の結び目(ノット)の個数をカウントする方法も取られました。そしてこれが、速度単位ノットの由来です。
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