カップ一杯の幸せ

2026年3月17日(火曜)にNHK総合で、笑わない数学、三角関数を放送していました。席亭も不意を突かれました。今時三角関数でも無いでしょうが、席亭もその意図を探りたいと思います。(笑)

1)オープニング
パンサー尾形が登場して、微分積分もそうだったけど、これで数学諦めましたって人、結構居るんじゃないですか?、と言っています。左胸にはsinΘ、cosΘ、tanΘのピンバッジです。
そして自分は違う、サイン、コサインの公式を諳んじて見せましょう、と言います。加法定理、三倍角の公式を諳んじます。
だって三角関数なんて、生きてて役に立ったためし無いから、学ぶ必要なんて無いという人も居る、勉強する気に成れない、とも言っています。まあこの様な人は、理工学科には合格しないでしょう。(笑)
しかし、一転して、

2)この世の全ては三角関数でできている
と前言を否定しています。今日はこの三角関数のすごさを、皆さんにもしっかり分かってもらいます、とも言っています。

3)アシスタント、浜ちゃんの登場
プライバシー保護の為か、彼女は完全武装です。現在富士山頂に居るそうで、ゴーグル+スキーウェア?で、防寒対策は完璧です。(笑)

4)問題:三角関数を使って地球の半径を求めなさい
富士山頂から眺めた写真が壁に貼られており、地平線(水平線)も写っています。またスタジオに測距儀が登場し、これらを使用して地球の大きさを求める訳です。
地球の大きさを求める式は、

R/(R+3776)=cosΘ(見下ろす角度)です。

画面左下にはこの式を導き出したモデルが示されており、富士山頂上の地点、地球の中心、富士山から見える地平線地点の3点で、垂直三角形を形成しています。
つまり、三角形の夾角αのcosを求めると、cosα=R/(R+3776)に等しい訳です。そしてこの角度αは、測距儀で測る、地平線を見下ろす角度Θに等しい訳です。尾形が測ると、この角度はΘ=1.970°でした。
浜ちゃんが三角関数表でcos(1.97度)の値を調べると、0.99941でした。先の式で地球の半径の大きさを求めると、R=6,396kmと成りました。実際の地球の半径は約6,400kmですから、計算の精度はかなり良さそうです。

ここで席亭がサービスを一つ。
皆様はサイン関数とコサイン関数が同じな事を、御存じですか? 波形はフェーズは異なっていますが、かなり似ています。そしてこれは三角関数表でも確認する事が出来ます。
加法定理、sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβを使用すると、sinβが1になる角度、β=π/2を選ぶと、
sin(α+π/2)=sinαcos(π/2)+cosαsin(π/2)=cosαとなり、cos関数がsin関数で表す事が出来ます。

またsin^2x+cos^2x=1ですから、cosx=±√(1−sin^2x)とも表現出来ます。ですが、先の表記の方がスマートですよね? 数式表現が二種類有るのには(そして±が付くのにも)、それなりの理由が有りそうです。

5)三角関数は細かい数字が沢山出て来るし、面倒くさい
6)いや、三角関数には数学者達をも引き付ける、すごい魅力がある
席亭は魅力は兎も角、基本的であるとは思います。つまりこの関数は併進と回転とを結び付けており、波を表現する関数としては誠に相応しい。それに併進、回転は、物理学(力学)の基礎です。(笑)

7)正岡子規(1867−1902):明治の俳人
明日は三角術の試験だというので、ノートを広げてサイン、アルフタン、スィータ〜と読んで居るけれど少しも分からぬ/随筆「酒」より
8)やっぱり三角関数は多くの人にとって受けが悪かったbyナレーション
9)三角関数の定義のお浚いbyナレーション
これは省略します。

10)三角関数の原型が生まれたのは、紀元前、古代オリエントの時代だったとも言われています
11)土地の測量などに利用され続けて
エジプトなどでは、3:4:5の比が直角三角形、直角を形成する事が知られていました。
12)三角比の問題と考えられている粘土板(紀元前1800年頃)
13)サイン、コサインなどの基本が作られるのは、ずっと後の時代、“三角関数”の表(古代ローマ)
14)言ってみれば、三角関数は無味乾燥で退屈に見える数字の羅列として誕生し、その後もしばらくそう有り続けた。三角関数(三角比)数字の羅列、

15)17世紀以降、数学者達は座標という新たな考え方を使ってサインやコサインのグラフを描いてみる事にした
16)三角関数の拡張:角度は0〜90°だったのを、90°以上や0°以下に拡張した。つまり此処では角度Θは三角形の夾角ではなく、回転角と成っている訳です。
17)角度を実数全体に拡張したsinΘのグラフ
角度を度数表示ではなく、ラジアン表現に変更する事も必要でしょう。

18)それまで、単なる数字の羅列に過ぎなかった三角関数は、実は身の回りのさまざまな場面に登場する美しい波の形や振り子の運動を表しているのが判明した
確かに、三角関数のカーブは優美です。自然は美をも内包しています。美は、人類が独占している訳では有りません。席亭などには、スムーズな加減速の様にも見えます。(笑)
※18世紀 ダニエル・ベルヌーイは波動方程式の解が三角関数で表現されることを証明:ベルヌーイはオランダ生まれのスイス人です。数学、物理学者で、ベルヌーイの定理/流体力学は有名です。またこの波動方程式は、弦の振動の様です。
※三角関数の誕生は三角比を一般角へと拡張したことがきっかけとされる。

19)マーカス・デュ・ソートイ博士/オックスフォード大学教授
それまでの三角関数は幾何学の世界に閉じ込められていましたが、座標によって三角関数についての理解が一気に広がったのです。人類にとって数学へのアプローチがまったく変わるほどの出来事でした。
20)でもですよ、実は三角関数は波ばかりじゃない、いや、僕たちが住むこの世界にある色々な曲線、こんなのとか、こんなのとか、そんなのとか、どれも三角関数なんだ、というへんてこりんな事を考え始めた数学者がいる
21)レオンハルト・オイラー(1707−1783):角度を更に拡張
22)オイラーの等式、e^(i*π)+1=0:笑わない数学「虚数」より
自然対数の底(ネイピア数)e、虚数単位i、円周率πが含まれている為、最も美しい公式と呼ばれていますが、その表現する所はcosπ=−1と同じです。(笑)

23)オイラーが発見した数式:sin(ix)=i*(e^x−e^(−x))/2、cos(ix)=(e^x+e(−x))/2
この式を見る限りでは、サインよりもコサインの方が根源的に見えますよね?(笑)
24)e^xやe^(−x)は指数関数。指数関数を使うと、例えばパイプオルガンが見せる美しい曲線(〜筒の高さの変化)や、撓んだ鎖が描く懸垂線(y=(e^x+e^(−x))/2)と呼ばれる曲線を数式で表現することができる。
波以外の形が三角関数で表現できるという、驚きの事実を物語っているのです。
パイプオルガンの筒の高さ:y=cos(ix)−i*sin(ix)、懸垂線:y=cos(ix)

これら公式は、一般にはe^ix=cosx+i*sinxの方が有名です。指数関数と三角関数のどちらが古いかを調べると、AIの回答では三角関数(三角比の概念)の方が圧倒的に古い、とあります。
高校数学などでは指数関数の方が基本的にも思えますが、人類の歴史上では反対なのでした。試しにこの式から先のオイラーの公式を導いてみると、

xにiyを代入すると、左辺はe^i(iy)=e^(i^2y)=e^(−y)、右辺はcos(iy)+i*sin(iy)
xに−iyを代入すると、左辺はe^i(−iy)=e^(−i^2y)=e^y、右辺はcos(−iy)+i*sin(−iy)=cos(iy)−i*sin(iy)

∴e^y+e^(−y)=cos(iy)−i*sin(iy)+cos(iy)+i*sin(iy)=2cos(iy)
∴e^y−e^(−y)=cos(iy)−i*sin(iy)−cos(iy)−i*sin(iy)=−2i*sin(iy)、sin(iy)=(e^y−e^(−y))/(−2i)、
分母分子にiを掛けると、sin(iy)=i*(e^y−e^(−y))/2、あっています。
尤も、これは形式的な計算で、三角関数の変数に虚数を導入する際には、精密な吟味も必要なのでしょう。(笑)
これによりパイプオルガンの式も、cos(ix)−i*sin(ix)=(e^x+e^(−x))/2−i*i*(e^x−e^(−x))/2=(e^x+e^(−x))/2+(e^x−e^(−x))/2=e^x
懸垂線の式も、cos(ix)=(e^x+e^(−x))/2、と表現出来ます。

25)虚数の角度を考えるとは、流石に天才オイラーだ。by尾形
26)ゴチャゴチャとした形は無理なんでしょう?by尾形
27)でも、19世紀に入ると、何と、どんなにゴチャゴチャした形でも三角関数でかけるのだという、おどろくべき事を言い出す人物が現れた。by尾形
28)19世紀は人々にとっての数学のイメージが大きく変わる時代でした
29)それ以前の数学と言えば、宇宙の法則を解明した微分積分のように、どちらかというと人々の日常からは遠く離れた現象を説明するための学問でした。
   しかしそれが、より生活に密着したで場面で用いられるものへと変化する事に成ったのです。byナレーション
画面には身近な数学、熱力学の数式などが表示されています。

30)きっかけの一つが産業革命以降、生活に欠かせないものと成り始めた蒸気機関、より効率の良い蒸気機関を作る為、熱現象の数学的解明が求められる様に成ります。
31)そこに登場したのが、三角関数の知られざるすごさを世に示す事になる、ジョゼフ・フーリエでした。
32)ジョゼフ・フーリエ(1768−1830):フランスの数学者、物理学者で、熱伝導方程式、フーリエ解析は有名です。調和解析や次元解析、確率論や誤差論の分野で業績を残しました。
33)フランス学士院の懸賞問題(1811年):熱伝導の法則の数学的理論を与え、その理論の結果を精緻な実験と比較せよ
   1811年、フーリエはフランス学士院が提示した熱伝導の数学的理論についての懸賞問題に応募、自ら作り出した熱伝導方程式を解く事で見事に大賞に輝きます。
   人々が驚いたのは、一連の論文に書かれていた、後にフーリエ展開と呼ばれる、三角関数に関する主張でした。

すべての関数は、三角関数の足し算で表すことができる。不連続な関数や完全に任意の関数でも可能だ。
34)それはざっくり言えば、どんなにゴチャゴチャとした形(関数)でも、三角関数で表せる(フーリエ展開)

f(x)=煤oan*cos(2πnx/L)+bn*sin(2πnx/L)}、ここで和はn=0から∞です。
a0=(1/L)∫f(t)dt、an=(2/L)∫f(t)cos(2πnt/L)dt、bn=(2/L)∫f(t)sin(2πnt/L)dt、ここでanの式はn>=1で、bnの式はn>=0です。積分範囲は0からLです。

f(x)=a0+a1cosx+b1sinx+a2cos2x+b2sin2x+a3cos3x+b3sin3x+a4cos4x+b4sin4x+・・・
遣っている事はスペクトル分解なのでしょうが、直観性に欠けます。席亭にこの式を導けと言われても、手に余ります。(苦笑)

35)実は、フーリエのこのどんなにゴチャゴチャとした形(関数)でも、三角関数で表せるという主張には、まあ、こんな感じの途切れ途切れになっている様な、結構ムチャな形まで含まれていました。
36)私が適当に書いたこんな形を用意しました。by合原明子(ナレーター)
   (次数を上げると)わあ、私が書いたゴチャゴチャっとした形に迫って来たように見える。
37)三角関数による、音の再現、音程の異なる音叉を多数用意して、音を再現する。(〜シンセサイザーの原理)

38)この世の全ては三角関数でできているby尾形
39)フーリエの主張の正しさを巡っては、多くの数学者達による激論が繰り返される事になった。
フーリエの証明は、一切無し。彼の立場は数学者ではなく、物理学者のそれなのでしょう。(〜後日登場する話題)
まあフーリエ展開は近似の仕方なのでしょうから、展開したい関数の極限迄似せる事が出来る訳です。ですが、それには無限の積分操作が必要ですよね?
これにより、無限、不連続などの定義が問題と成るのでしょう。

40)シメオン・ドニ・ポアソン(1781−1840)、フーリエ展開は正確かつ厳密な方法で証明されていない
フーリエ展開に登場する、関数とは何か、無限の足し算(和)とは何か、積分とは何かなど、当時用いられていたさまざまな数学の概念があいまいなままだった事に数学者達が気付いたからでした。
41)解決する迄には、連続性、濃度、集合などといった、現代数学の基礎となる様々な概念を確立させるための、世代を超えた戦いが必要だった。

42)現代では、よっぽどヘンテコリンな関数でない限り正しい。by尾形
そしてその過程で、現代数学が生まれた。三角関数は、現代数学までをも作り上げた。
43)三角関数は、未来の数学をも作っているbyパンサー尾形
44)ベルンハルト・リーマン(1826−1866):ドイツの数学者で、数論、解析学、幾何学の分野で業績を上げました。
素数の謎を解明する事、素数はどんなタイミングで出現するのか?、素数階段の知られざる形を描いてみせること。
ベルンハルト・リーマン著、「ある数より小さな素数の個数について」(1859年)
1859年に発表された研究論文、この中でリーマンは素数階段のギザギザの形は実は無限個の波の形の足し算で書けるという誰も予想しなかった事実にたどり着きます。

45)マーカス・デュ・ソートイ博士/オックスフォード大学教授、
リーマンはフーリエのアイデアを応用し、素数階段の形は波の形のたし算で表せることを示しました。
その波の一つ一つは音楽でいう音叉の音のようなもので、いわば素数階段を形作る基本の音のようなものなのです。
リーマンは、未来の数学者に向けた重要な予想を示しています。「根はすべて実数であることを確信した」
どれも同じ音量になっているだろう。
46)これを数学的な言葉で書いたのが、リーマン予想(1859年):ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて一直線上にあるはずだ。
リーマンゼータ関数とは、ζ(s):=煤i1/n^s)=1+(1/2^s)+(1/3^s)+(1/4^s)+・・・で定義される関数です。レオンハルト・オイラーが発見しました。
ここで和はn=1から∞を取り、sは複素数です。
リーマン予想とは、リーマンゼータ関数の零点が、負の偶数と実部が(1/2)の複素数に限られるという予想です。ヒルベルトの23の問題でもあり、クレイ数学研究所のミレニアム検証問題でもあります。素数とも関係しています。

47)同博士
リーマン予想によると素数階段を作る、基本の音のボリュームは全てピッタリ同じなのです。
これは素数の謎を解明するための重要な手掛かりになるはずです。
エラストテネスの篩でしょうか?

ここでその触りをご紹介するため、自然数N以下の素数の数を調べる事にします。
1は定義により、素数では有りません。2は素数ですが、この2によって素数ではない2*nという数が(0,N)から排除されます。
N=10ならば、2n<=10であり、n<=5となり、4、6、8、10が素数ではないと集合から排除されます。
残るは、10−1−1−4=4、つまり、3、5、7、9が残っている訳です。
次は3です。3は素数ですが、この3によって素数ではない3*nという数が(0,n)から排除されます。N=10ならば3n<=10であり、n<=3となり、6、9が素数ではないと集合から排除されます。ですが、6は既に排除済みですね。
つまり、2と3の公倍数も問題と成る訳です。根気の無い席亭は、此処でお手上げします。(苦笑)

48)あなた達が大嫌いな三角関数は、ものすごくものすごくスゴイ(超超スゴい)、by尾形
二倍角の公式、加法定理を諳んじ、小林幸子を連呼します。許諾は得ていない様です。(笑)

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